スタッフのぼやき

2008年12月29日 (月)

1枚の画像から・・・続き

Vendange_vert_hatena_2 牛の話で盛り上がった?ところで、葡萄畑の話にもどしましょうか・・・年の瀬になってまで、こんなに重い話をするなんて、なんて計画性がないのでしょうか・・・

ということで、皆様、この画像で何か引っかかるところがありませんでしたか?自分は初めてこの画像見た時、衝撃的でしたよ。それがVosne-Romanée(ヴォーヌ・ロマネ)の1級畑Suchots(スショ)だと聞いた時には、ショックでした。あんなに素晴らしいワインが醸される地で、こんなことが・・・と。

Vendange verte(ヴォンドンジュ・ヴェルト)という畑作業があります。夏場に収量を調整する目的で、房を切り落としていきます。ということは、この写真のように、房をこんなにも切り落とし、秋には低収量の濃縮した房を作る素晴らしい造り手じゃないですか!・・・と思われますか?

Vendange verteは確かに行います。ただし、その名の通りVendange「収穫」verte「緑」です。花が咲き終わり、結実して緑の小さな粒の時に行うものです。この画像は、8月18日撮影・・・葡萄の粒が色づいてくる、Véraison(ヴェレゾン)と表現される時期です。これが問題なのです。この時期は、すでに葡萄が完熟に向け一生懸命に栄養を粒に蓄えようとしているのです。一本の樹の根は限られているため、活動している時期のミネラルや養分の吸収は限られています。その養分は光合成によって糖分へと変わりミネラルなどともに葡萄の房へ送られます。ということは限られた糖分やミネラルは切り捨てられた葡萄の粒にも送られているのです。さらに葡萄のような蔓性の植物は、根本から遠いほうが成長の勢いが強い、この画像からでは断言できないですが、遠いほうの房を切り捨てている印象を受けます。これが事実ならば、のりにのっている葡萄の房を切り落としている・・・素人の自分でも、分かりそうなことなのですが・・・この畑の管理者はどうしたのか?

ここからは予想です。ブルゴーニュの2006年の開花期は順調でした。雹や大雨の害もなく、綺麗な花を咲かせ、多くの実をつけたはずです。このまま行けば豊作ですが、ワインの世界では、葡萄に個性を持たせるため凝縮した房に仕上げることを良しとします。そこで、通常は緑の実の時に房を切り落としていきます。どのくらい落とすか、天候次第・・・それは神のみぞ知る・・・そのため長年の経験がものを言うのです。おそらく、ここでこの畑の所有者は、このまま順調な天気が続けば、いい房が多く収穫できる・・・と欲が出たのでしょう。夏場のどんよりとした天候のため、1本の樹に実った大量の房が凝縮感のない仕上がりになるのを恐れたため、Véraisonの時期に切り落とした・・・物を造り出す人から商人へとなってしまったのでしょう。

畑の現状を知らない者にとっては、「房を落とし凝縮感のある実を収穫する」という美しい言葉を信じるしかありません。さすがブルゴーニュ!やはりすごいな、となるのです。しかし、こんな現状が、ワインの銘醸地で起きているのです。1級畑ですよ、Vosne-Romanéeの・・・もちろん全てがこんな畑でありません。美味しいワインを醸している方はたくさんいます。しかし、こんな銘醸地でこの事実を目の当たりにしてしまうと、寂しい気がいたします。

どうしたら美味しいワインにめぐり合えるのか?やはり名前に惑わされることなく、美味しいものを飲みながら探すしかないのでしょうかね。その手助けとして、我々レストランや酒屋さんのスタッフがいるのです。もちろん我々は皆様からの要望に応えられるよう、日々精進しなくてはなりません。頑張ります。我々に出来ることがあれば何でも気軽におっしゃってください。すいません・・・ついつい長く書いてしまいました・・・もうすぐ今年も終わりですね・・・

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2008年12月28日 (日)

Brune(ブルヌ)

Brune_blog という牛、え?昨日の葡萄畑の話ではないの?とがっかりせずに・・・まあ一呼吸置きましょうよ、牛の話でもしながら・・・今回はBrune「褐色の」という名の通りの乳牛の紹介です。

多々、有名なチーズの原料にもなっている、濃厚なミルクを作る、この牛。以外にもそんなに歴史が古いわけではないのです。もともとの出身はスイス、そこから国境を越えてフランスに渡ってきたのが19世紀なのです。Bourgogne地方のCôte-d'OrとAube県、さらに西に進んでMidi-Pyrénées地方のTarnやAriègeにまで勢力を伸ばし、すでにフランス国内で4万頭!1911年にはフランスの酪農協会からフランス品種の階級まで与えられているそうですよ。

なぜそのように重宝されたのか?ミルクの美味しさはもちろんですが、なんといっても暑さと乾燥に強いこと、さらにスイス出身ということもあり、標高の高いところでも適応するのです。ん?どういうこと?

以外に知られていないのですが、牛は暑さに弱いのです。つまり夏場のミルクは、含まれる乳脂肪分が少ないのです。しかし、夏場の生い茂る草を食む牛からは美味しいミルクが・・・この矛盾を解決するのが、高山での放牧。涼しい広大な土地での放牧。そこで問題になるのが標高の高い場所への適応能力。ということで、乾燥した気候に、涼しいとはいっても夏の暑さ、そして高山・・・

ということで、先日ブログに書いたチーズÉpoisses以外にもchaource(シャウルス)やlangre(ラングル)といった名だたるチーズを作り出しているのです。あらら・・・また違うチーズの名前が出てきましたね。皆様の察するとおり、今度のネタになります。もちろん機会を見て、lugdunumでも登場しますよ。ぜひ、お楽しみに!

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2008年12月27日 (土)

1枚の画像から・・・

Vendange_vert_hatena 思うこと・・・考えさせられます・・・巷に2006年ヴィンテージを多々見かけるようになり、早いところでは既に2007年に移っている今日この頃。さて、2006年はどんな年?などと考えている時の、この一枚です。

この画像の撮影日は2006年8月18日。きれいな畑ですね。そう、世の中にその名を轟かしている、ブルゴーニュ地方、Vosne-Romanée(ヴォーヌ・ロマネ)の1級格付け畑Suchots(スショ)の畑です。美味しいと評価の高い地・・・

え?何が言いたいのかわからない?まさにその通りです!

実は、この画像の感想を、実は皆様に聞いてみたいのです・・・が、さすがに聞くことができないので、皆様思うことを心に留め・・・そう、数日時間を下さい・・・申し訳ありません、御節の準備にに追われているもので・・・必ず書きますから・・・誰も書きたがらない、現実を・・・気になるでしょう?

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2008年12月17日 (水)

Pie rouge de l'Est(ピエ・ルージュ・ドゥ・レスト)

Pie_rouge_de_lest_blog また牛?といわずに・・・今回はタイトルにも書いたPie rouge de l'EstとSimmental français(シメンタル・フランセ)のご紹介です。どちらも、乳牛で1年で5000kgほどのミルクを作り出します。、以前にチーズの紹介で書いたMont d'Or(Vacherin)はもちろん、美味で有名なÉpoisse(エポワス)やGruyère(グルュイエール)などの原料になっています。どれもが美味しいコクのある味わい、つまりこの牛たちの濃厚で高品質のミルクだからこそ可能なのですね。

さて、この2種類の牛、実は切っても切れない間柄なのです。前者の牛は、フランス人にとって昔からいるような馴染みのある名前らしいのですが、以外に歴史は浅いのです。19世紀ごろにジュラ地方やスイスとの国境の山深いところ住んでいた祖先が、数種類の他の牛とかけ合わさって多くの種類が生まれたそうです。牛の系統の本によると、1930年に確認されたのがPie rouge de l'Est、1992年さらに進化?したのがSimmental françaiseということなのです。豊で美味しいミルクはもちろん、繁殖力も強く、今ではAlsace、Franche-Comré地方を中心に、BourgogneとRhône-Alpes地方にまで範囲を広げ、前者が200万、後者が10万頭にまで増えているそうです。

さて画像の左上、親戚同士のお二方の顔ですが、皆様違いがわかりますか?

はっきりいって、まったく違いがわかりません・・・さらに言ってしまうと、前回書いたMontbéliardeと3頭並んでいても・・・素人の自分には違いがわかりません・・・すみません、「違いのわかる男」になります。コーヒー飲みながら・・・あらら古い・・・

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2008年12月15日 (月)

Montbéliarde(モンベリアルド)種の牛

Montbeliarde_blog というわけで、今回は牛の紹介です。調べれば調べるほど・・・いったいどれほどの種類の牛が、フランスで飼われているのか・・・日本では和牛やホルスタインぐらいでしすからね・・・

見てください!かわいい姿ではありませんか!マスコットにまでなっているこの牛、Montbéliarde(モンベリアルド)です。住んでいる地域は広く、18世紀に氷河で有名なOberland bernoisからどなたかがFranche-Comtéに連れてきたことから始まり、 AuvergneやRhône-Alpes、さらに西・南西の方向へ。長寿に加え、ミルクの質が素晴らしいだけでなく、チーズにしても最適ということで広がっていったのです。1999年には(少しデータが古いですが・・・)71万頭が飼育されていたようです。すごい!

しかし、こんなにも素晴らしい牛も、一時は絶滅の危機に瀕していました。1980年代Prim'Holsteinに押されてしまったのです。ここからがさすがフランス人ですよ!以前に書いたNoir de Bigorreと同じように、この牛の特性の素晴らしさを知っている方々が、地道に復活させていくのですね。今ではチーズ作りにいなくてはならない存在なのです。本当にお見事!

というわけで、この牛のミルク、どんなチーズに変わるのか?多いのでほんの一部をご紹介します。有名どころでGruyèreやComté、そして忘れてはいけません、今lugdunumで扱っているVacherin (Mont d'Or)ですよ。そうなのです。これが言いたいがためにこんなにも長々と書いてしまったわけです。結論を言ってしまうと2行で終わるのを、こんなにも長くもったいぶって話す・・・まさにサービスマンの鏡ですね!え?違うのですか?

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2008年12月12日 (金)

ミルランダージュ?前々回の続きです

Millerandage_2 前々回のメールは疑問文ばかりで申し訳ありません。

ミルランダージュは「結実不良」ということは前回書きました。つまり、葡萄を栽培している者にとって、決していい結果ではありません。多くの近代技術を駆使して、栽培している地では見かけることは少ないと思いますが、フランスの厳しい規制に基づいて栽培しているものにとっては決して他人事ではありません。例えば、以前A.O.C.の規制について話しました。フランスではどんなに干ばつでも、ブドウ畑に水を与えることは出来ません。え?と驚かれるかもしれませんが、そこまでして、フランスは土地の特性を引き出す葡萄栽培をしているのです。そう、過酷な環境下での栽培なのです。

フランスワインの銘醸地ブルゴーニュ、素晴らしい名声をほしいままにしていますが、決して葡萄にとって快適な場ではありません。表現がよくないですね、素晴らしいワインを醸しますが、葡萄にとっては過酷な環境下なのです。冬は寒い、春に霜が降りる、開花後に雹が降る、夏が涼しい、この地方独特の曇りがちの天気・・・そのぎりぎり、なんというか人間の英知・努力と自然との駆け引きのなかで生まれたのが、世界に名だたるブルゴーニュのワインたち。さらに、ブルゴーニュを冠するには、1品種からしか作れません。他品種のブレンドが禁止されているのです。そのため、各年毎の葡萄の出来がワインの品質に大きくかかわってくるのです。

最初に書きました「結実不良」、そう厳しい自然環境が開花前後に牙をむくと・・・、避けられないのです。どんなに栽培の名手であっても・・・しかし、名手はそこから最高の葡萄に仕上げるよう英知を駆使します。そのため、完熟した素晴らしい収穫に、ミルランダージュが少々加わることで、さらなる複雑さがワインに与えられることになるのです。どういうことかというと、粒が小さく皮が厚い結実不良果には種はありません。葡萄の旨味、そうワインの旨味は種の周りに集中します。ミルランダージュからは色の濃い渋いワインが醸されます。ブルゴーニュワインはそんなタイプのワインでしたか?やはりバランスのいい、旨味のあるワイン、これが王様なのです。

「毎年素晴らしい葡萄を実らせる方の、自然の洗礼を受けたミルランダージュ」と「なかなか上手く綺麗な房を実らすことの出来ない方の、毎年出来るミルランダージュ」。皆様、いかが思われますか?

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2008年12月10日 (水)

ミルランダージュ?

Millerandage_1以前のブログワインの項目の中にチョコチョコ出てきた言葉です。lugdunumでも聞かれることがあります。ワイン雑誌などでもよく見かけます。

さて、ワインに詳しい方は、この言葉に対していい印象をお持ちと思います。ワイン本の中でも、「ミルランダージュは素晴らしいワインになる」などという表現を目にします。そうなのでしょうか?この表現だとミルランダージュだけで造ったワインは最高のワインになる?この単語、ワインに詳しい方の中で、一人歩きをしていないでしょうか?

ミルランダージュ、日本語では「結実不良」という意味です。どんな状態なのかというと、この画像そのまま、なんら付け加えることはありません。正常に実らない小さな粒、これがミルランダージュです。房の姿を見て、健全そうですか?美味しそうですか?この葡萄が店頭に並んでいたら皆様買いますか?

料理もそうだと思うのですが、安心安全・健全な食材から、美味しいものが造られます。ワインも同じだと思います。では、どうしてこのような表現が神のごとく扱われてしまうのか?皆様どう思いますか?

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2008年11月26日 (水)

美しき師弟愛・・・

Traning_blog かどうかは知りませんが・・・以前自分がリンゴの種を抜いた時がありましたが、今は手伝っていません・・・これが何を意味するか、賢明な皆様はすでに察していただけたと思います。・・・そう、手直しが多かったのですね、つまりへたくそだったのです。そんなわけで、今回から期待のホープが種を抜きます。

先輩方に、優しく教わりながら、精進に励む姿・・・美しいですね。え?そんな雰囲気ではない?「ちゃんと綺麗に抜けよ」「へたくそだな~」などという会話の中、彼が頑張ってくれました。ちゃんとその後に、オーブンに入って8時間、いや~めでたしめでたし・・・ほのぼのとしたlugdunumの一光景でした。

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2008年11月25日 (火)

リヨンといえば・・・

Pot_lyonnais_menu Guignol(ギニョール)でしょう。lugdunumでもいたるところに、絵や写真が飾ってあります。というわけで、今回はこのギニョールのお話です。

昔昔の1769年、フランスはリヨン、一人の男性が生を受けました。彼の名はLaurent Mourget(ローレン・ムルゲ)。よCanutと呼ばれる織物職人に家庭に生まれた彼は、若いころには織物取引を学んだようです。その彼が・・・何があったのか?1797年に歯抜きを職業としたのです・・・なぜ?

そんな彼が、顧客集めに使ったのが、イタリアの劇場古典を演じる人形劇だったのです。その魅力に気づいた彼が、1808年に、独特の丸顔、茶目っ気のある目、上を向いたおかしな鼻を持つ人形、ギニョールを生み出しました。そして今のスタイルでもある「風刺めいて不遜な機知にとんだギニョール」なのです。今なお愛されている理由は、このへんにあるのではないでしょうか?

さて、Guignol、どうしてこの名前をつけたのでしょうか?・・・多くの説があるそうですが、どれも説得力がないそうです。ミステリーですね・・・きっと何かがあったのですよ・・・過去に・・・

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2008年11月18日 (火)

フランスで品質保証といえば?

Inao_blog 原産地呼称委員会(INAO)が管理しているアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ(Appelation d'Origine Contrôlée)、そうA.O.C.と呼ばれているものです。ワインの場合が、我々には一番身近でしょうか。そう、画像にあるように、古いビンテージ(左が1979年、右が1985年)でも今も変わらず管理されているのです。エチケットにAllepation ~ Contrôléeと書かれています。実はこの認証はワイン以外でも、そうフランスの農業製品全般に与えられるものなのです。もちろん、全てではないですよ。製造過程はもちろん最終的な品質評価においてINAOが認めたものだけです。そう、本当に厳しい審査を受けることとなります。

この組織は、原産地保護を目的とするフランスの法律から始まります。そして、1936年にワインの製造工程を管理する目的で、農林省管轄の組織としてINAOが組織されました。そして1990年にINAOの管轄範囲がワインのみならず他の農産物にまで拡大され現在に至ります。

何が厳しいのか?例えばワインの場合。葡萄の栽培地域はもちろん品種、栽培・剪定方法・最大収穫量、醸造・熟成方法・最低アルコール度数、最後は試飲検査。ここまで決められてしまうのです。この厳しさに対して多くの反論はあるかと思いますが、今も高品質を維持し世界から評価されている要因の一つなのではないでしょうか。

こんな話を長々と書いた理由は・・・日本で蔓延している食品偽装に対する怒りから!というわけではなく(実際に怒っていますが・・・まさにモラルの欠如)、今後のブログでのキーワードになるからです。こんなにも厳しい審査を行っているんだな、フランスの高級食材は・・・という感じで明日へ進みます・・・初めてまじめに書ききりました・・・

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